この記事の要約
- 2024–2025年にかけて 15 万人超 がテック業界で職を失い、PM(=PdM)職はエンジニアの約 2.6 倍解雇されやすいそう
- 解雇理由は「AI 導入」「過剰採用の反動」「中間管理職の整理」の複合。特に 生成 AI が PdM の業務範囲を急速に再定義
- 生き残る PdM に共通する 3 つの武器:ビジネス収益直結力/AI リテラシー/少数精鋭チームのリーダーシップ
なぜ PdM ばかりが解雇の矢面に立つのか
2024 年だけで 549 社・約 15 万人 のテック従業員が雇用を失いました(Layoffs.fyi 集計)。
その内訳を見ると、レイオフ(Layoff)(人員削減を目的とした解雇)の対象はエンジニアよりも PdM・デザイナー・HR など“周辺職能”に偏っています。実際、米系メガテックの 2025 年 2 月公開データでは、PdM がエンジニアの 2.6 倍 解雇されやすいと記されています。
Just a moment...
グローバル主要企業のレイオフ実例
企業 / 時期 | 削減規模 | 公式コメント | PdM への影響 |
---|---|---|---|
Microsoft 2025/05 |
約 6,000 名(3%) | AI 投資集中とフラット化 | ワシントン州だけで製品企画・PdM 約 600 名削減 |
Google 2025/02 |
数百名 | Pixel/Chrome 再編 | 重複 PdM ポジションを統合 |
Mercari US 2024/06 |
100 名弱(45%) | 北米戦略見直し | US 側 PdM を軸に人員整理 |
SmartNews 2024/01–03 |
約 300 名 | コスト構造の抜本改革 | 国内外の PdM を含む全職種対象 |
Canva 2025/04 |
10 名強 | 生成 AI で文書作成を自動化 | テクニカルライター兼 PdM を削減 |
Zopper(インド) 2025/01 |
約 100 名 | 効率化・収益性改善 | プロダクト開発チーム 50 名削減 |
大手もスタートアップも 「AI×収益性」ドリブンの再編 という点で共通していました。特に Microsoft と Google は「生成 AI 活用で開発生産性が 30% 向上した」ことを公にし、PdM を含む中間層の整理を正当化しています。
解雇理由
- マクロ経済要因
インフレ・金利上昇で VC マネーが細り、2020–2021 年の過剰採用を修正 - 組織戦略要員
「フラット化」と「重複排除」で管理コストを削減。Meta は 2024 年に管理職比率を 5pt 引き下げ - テクノロジー層
生成 AI による業務自動化。IBM はバックオフィス 8,000 ポジションを AI 置換すると公言
これらが同時多発し、レイオフが発生。
日本の PdM は安全か?
「日本は解雇規制があるから大丈夫」とは言い切れません。東京商工リサーチによれば、2023 年に情報通信業 11 社が希望退職を募り、募集人数は前年の 4 倍。赤字企業に限らず黒字でも構造改革目的が半数を超えました。
国内スタートアップでも米国子会社の失速が火種に。
“生き残る PdM”の 3 つの武器
では、どうすれば?ということを簡単に考えてみます。
1. 収益エンジンを設計するビジネス感覚
「仕様まとめ係」から脱し、PL(損益)を動かせる PdM になること。売上や利益など経営の最重要指標の数字を作れる人は解雇対象から外れやすいだろう。
2. AI リテラシーとツールハック
言わずもがな、最新モデルや最新ツールまでを含めたプロダクト開発業務の効率化や自動化、さらにはAIを組み込んだプロダクトを構想・推進できる能力はおそらく必要になってくるだろう。
3. 少数精鋭チームのリーダーシップ
管理職層の整理で 1 人当たりの担当範囲は拡大しています。心理的安全性 を保ちつつ、デシジョンメイカーとしてチームを牽引できる PdM が重宝される。
今日から実践できるアクション
- 今週中に自分の担当プロダクトの「1 ユーザーあたり粗利」を計算し、来期計画と照合
- 生成 AI でユーザーインタビューメモ → ペルソナ更新を 1 時間以内に完結
Q&A
- Q. PdM 以外のキャリアにシフトすべき?
- A. いいえ。AI 時代でも PdM 職は消えないというのが大勢の見解。ただし ビジネス直結力×技術理解 のハイブリッド人材であることが前提。
- Q. 解雇が怖い。社内で何をアピールすれば良い?
- A. ROI が見える成果を四半期単位で報告。たとえば「新機能 X で CAC 10%削減」など。
- Q. 文系出身で AI に自信がない…
- A. 生成 AI 時代の PdM スキル でロードマップを解説。まずはプロンプト設計とデータの前処理から慣れよう。
参考情報
- Layoffs.fyi「2024–2025 Tech Layoff Tracker」
- Microsoft 2025 年 5 月 20 日 8-K Report
- Tokyo Shoko Research「2023 年希望退職募集動向レポート」
- Meta 2024 年 Annual Report – Year of Efficiency
- IBM CEO Arvind Krishna Interview (2024/05 Bloomberg)
- Mercari Inc. Press Release (2024/06/05)
- SmartNews Inc. Company Statement (2024/01/17)
- Olsen, D. “Product Management in the Age of AI”, ProductCoalition, 2024
- Harvard Business Review, “When A.I. Automates Knowledge Work”, 2024/02
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