こんにちは。HRテック企業でプロダクトマネージャーをしているクロです。
最近はもう毎日のように仕事でLLMを使い、LLMを搭載した機能を実装し、個人でchatGPT Proも契約してヘビーユースしています。
そこで今回は、「プロンプトエンジニアリング」の最新動向や実践的なTipsを具体的なプロンプト例とともに紹介します。
最新動向:CoT、セルフコンシステンシー、自己検証プロンプトの台頭
● チェーン・オブ・ソート(Chain-of-Thought, CoT)
複雑な問いに対して、一気に最終回答を出させるのではなく、「推論プロセス」を段階的に生成させる手法。数式の途中計算や論理的ステップを明示化することで精度が向上することが、Weiらの研究[1]でも報告されています。たとえば以下のように、あえて思考プロセスを出力させる構成。
<ユーザー>
「以下の問題を考えてください。
12人のチームを4人ずつのグループに分ける場合、何通りの分け方がありますか?」
<プロンプト例>
あなたは数学の専門家です。
まずは一連の論理ステップを列挙し、最後に答えを導いてください。
● セルフコンシステンシー(Self-Consistency)
CoTの発展版。モデルが複数の思考プロセスを模索し、その上で共通解を見いだす手法。誤った枝を経由していても、別の推論経路で正解を導ける確率が高くなると言われており、Yaoらの研究[2]で効果が確認されています。
実装としては「複数回回答を生成→最終的に過半数が導いた解を選択」といった流れ。数理的推論や複雑なロジック問題で有効です。
● 自己検証プロンプト(Self-Verification)
自動要約やファクトチェックのように、生成後に自ら回答の妥当性を検証する仕組みを組み込む。以下のような二段構えのプロンプトを用いると、幻覚を抑止できる可能性が高まります。
<手順例>
1) まずドラフト回答を生成
2) 「今の回答に矛盾や根拠不足がないか?」を自己確認させる
3) 必要なら再度修正した最終回答を提示
僕もユーザーインタビューの要約を大量にする際に自己検証プロンプトを使うことがあります。矛盾があれば「(未確定)」とラベルを付けさせるなど、結果の信頼度を管理しやすくしています。
今日から使えるプロンプトのテンプレを紹介
ここからは実際に業務で使いやすいプロンプト例を紹介します。ユーザーインタビューで集まったテキスト解析や、新機能のアイデア出し、要件定義など、幅広く応用できるはず。
● チェーン・オブ・ソート×要件定義
#役割
・あなたは熟練のプロダクトマネージャーです。
#依頼
・「学生向けオンライン面接支援機能」について、要件定義を手伝ってください。
#制約条件
・まず、この機能の背景と目的をステップごとに整理し、最後に実現シナリオを箇条書きで出してください。
・必ず論理的なステップ(Chain-of-Thought)を先に示し、最終的なまとめを後ろに書いてください。
このように「背景・目的→実現シナリオ」の流れを段階的に書くよう指示。CoT形式で回答させることで、論理の飛躍を抑えつつ、再編集しやすいアウトプットを得られます。
● ハルシネーション抑制×ユーザーインタビュー要約
#役割
・あなたはUXリサーチの専門家です。
#依頼
・以下のインタビュー記録から、インタビューログを元にファクトを捉えてユーザーが抱えている課題を3つ抽出してください。
・ただし、事実不明な要素は「未確定」と記載してください。
・最後に回答の自己検証を行い、根拠不足があれば理由を簡潔に述べてください。
・正確性が重要なのでハルシネーションは絶対に起こさないでください
#インタビュー記録(抜粋)
「...(大量のテキスト)...」
「不確定なまま断定しない」ように明示すると、LLMが無理やり回答を作り上げるのを防ぎやすいです。これに加えて「最後に内容の自己検証を行え」と指示すれば、幻覚リスクをより抑えられます。
(おまけ)他部署・チームへの教育や連携
PMだけがプロンプト設計を理解していても、チーム全体の生産性はフルには高まりません。
そこでおすすめなのが、社内Wikiや定期ミーティングでプロンプト共有・レビューを行うこと。実際に試したプロンプトを例示し、「こんな風に書いたら要約が的確だった」「ここをこう変えたら幻覚が減った」などをナレッジ化。
ユーザーインタビューガイドでも触れたように、チーム内で共通言語を作ることで、全員が同じ質のアウトプットを得やすくなります。
今日から実践できるアクション
- 自分用のプロンプトテンプレを作成
CoTや自己検証を加えたテンプレをいくつか用意し、要件定義・要約・アイデア出しなど、よく使う場面で活用。 - 「セルフコンシステンシー」を試す
重要な問いには複数回質問し、回答を比較。過半数意見を選んだり、回答間の矛盾を洗い出すなど精度向上の仕組みを入れる。 - チームでプロンプトレビュー会を開催
コードレビューのように、メンバー同士でプロンプト内容をチェックしあう。幻覚が起きやすい箇所や改善点をシェア。 - 自己検証ルールを設定
「根拠がなければ未確定とする」「参考URLを必ず提示」などガイドラインを作り、チーム全体で徹底。
Q&A
Q1. チェーン・オブ・ソートや自己検証を行うと、回答が冗長になりすぎませんか?
A. たしかにステップが増える分、文章量は増えがちです。ただ、複雑な推論や要件整理を要する場合は冗長性よりも精度や信頼度が優先。最終的に要約フェーズを設けるなど、出力を二段階で処理する運用がおすすめです。
Q2. 幻覚を完全に防ぐ方法はありますか?
A. 現時点では難しいです。外部データとの照合(RAG)や自己検証プロンプトなど複数の手法を組み合わせることで抑止は可能ですが、完全排除には至っていません。最終チェックは人間という意識が重要。
Q3. プロンプトを他者に使われるのが不安ですが、どう管理すればいいですか?
A. 社外秘の情報が含まれる可能性があるため、オンプレ環境やプライベートLLMを検討する企業も増えています。社内ドキュメントに限定してAIを利用するガイドラインを設けると安心。
参考情報
- [1] Wei, J. et al. (2022). Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models. NeurIPS.
- [2] Yao, S. et al. (2024). Self-Consistency for Reliable AI Reasoning. ACL2024.
- OpenAI (2025). GPT-4.5 Technical Report. (CoT/自己検証に関する最新手法)
- Anthropic (2025). Claude 3.0 Release Notes. (セルフコンシステンシーの実装事例)
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