ユーザーインタビューで追加・深堀質問するシグナルは、“矛盾・熱量・独自用語”

ユーザーリサーチ

この記事の要約

  • ユーザーインタビューで「どこを、どんな質問で深掘るか」を瞬時に判断する手順を解説
  • 追加質問のタイミングを〈矛盾・熱量・新語〉の3シグナルで見分ける
  • 情報の種類別に使い分ける6カテゴリ質問リストを提示

ユーザーインタビュー中、ここを掘ればブレイクスルーがあるかも…でも時間が…そもそも深堀ってどうすれば…という葛藤は、PdMなら誰しも経験しますよね。
僕自身、累計600名を超えるインタビューで失敗を重ねながら「深掘りの判断基準」を磨いてきました。本記事では、その判断軸や具体的な質問例を紹介します。

深掘りすべきか即決する「3シグナル」

まずは追加質問の“引き金”となる瞬間。ポイントは矛盾・熱量・新語の3シグナルです。
3つのうち1つでも点灯したら、迷わず追加質問フェーズへ移行します。

シグナル 見つけ方 深掘り理由 具体例
矛盾 直前の発言やアクセスログと食い違う 裏に隠れた制約や真因が潜む 「毎日使う」と言いつつ、DAUは週1回
熱量 声色が上がる/身振り手振りが増える 強い感情は課題優先度の指標 通知の話題で急に語気が強まる
新語 独自比喩・専門用語・固有名詞が突然出る 本人の頭のフレーム(思考の枠組み)を可視化 「Slack疲れ」「メンタルブロッカー」などの造語

逆に3シグナルが一切出ない話題は深掘りしません。

狙い別の「6カテゴリ追加質問リスト」

シグナルを検知したら、次は「何を明らかにすれば意思決定に役立つか」を6つのカテゴリで整理します。具体的にはWhy / How / How often / Versus / Feeling / Futureです。

カテゴリ 狙い サンプル追加質問 活用シーン
原因 Why 行動・感情の裏付け 「それはなぜでしょうか?」 ユーザーが繰り返し行っている行動があるなど
手順 How 具体的なフローを把握 「最初に開いた画面は何でしたか?」 課題発生のコンテクスト把握
頻度・量 How often / How much 定量化で深刻度を測定 「1週間で何回同じことが起きますか?」 優先順位付けに数字が欲しいとき
比較 Versus 代替策・過去体験と対比 「他サービスと比べて一番違う点は?」 競合分析や切り替え理由探り
感情 Feeling 課題の深刻度(痛みの強さ)を測る 「そのときどんな気持ちでしたか?」 熱量シグナルが出たとき
理想・未来 Future 望むゴール像を具体化 「もし、魔王のランプがあったら現状がどう変わって欲しいですか?(機能を聞くのではない)」 ソリューション検討フェーズ

ミニスクリプト実例:通知が多くて解約したケース

【一次回答】「通知がウザすぎて…」
▼シグナル:熱量↑
┗ Q1 手順(How):通知は1日に何回届きましたか?可能であれば通知の履歴を見せてください
┗ Q2 感情(Feeling):では、具体的にその中でも最もストレスを感じた瞬間を前後の体験も含めて教えてください
→ 結果:5分おき&深夜にも届く → 優先度:High

たった2問でも「頻度」「ピークの負荷」を定量・定性で把握でき、改善タスクの優先順位が明確になります。

よくある失敗と対策

  • 全部深掘って時間切れ … 3シグナルがない話題は潔くスキップ
  • Whyを重ねすぎて尋問化 … Whyは最大1回、次にFeelingかFutureへ
  • 抽象回答が続く … 手順・頻度で具体化→感情で深掘り
  • メモに集中しすぎてシグナルを逃す … 録音+後で文字起こし、面談中は相手に集中

今日から実践できるアクション

  1. 直近のインタビュー録音を聞き返し、矛盾・熱量・新語を1本につき3ヶ所ハイライト
  2. 得られた新インサイトを★1〜3で自己評価し、★3質問を自社テンプレに追加

Q&A

Q1: 熱量シグナルが分かりにくい場合は?
声より姿勢がヒントです。画面越しでも前のめり・身振りが増えたら熱量サイン。
Q2: クローズド質問は使わない?
頻度・量カテゴリでは必須。数字で“痛みの大きさ”を確定させてからオープンに戻ります。
Q3: オンライン面談で新語シグナルを拾いづらい…
チャット欄共有を事前に許可してもらい、リンクやスクショを貼ってもらうと固有名詞が自然に出ます。

参考情報

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