【要約】『転職の思考法』でPMが自分の市場価値を確かめ、高める

PM関連本

このまま今の会社にいていいのか?」という疑問が頭をよぎる瞬間がありませんか?

僕自身、時折ふと不安になることがあります。
そんな時にたまに読み返している一冊が、『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』
本記事では、同書のエッセンスをプロダクトマネージャー向けに要約し、キャリアの選択や市場価値を見直すヒントを分かりやすくまとめます。特に「自分の市場価値を計る9つの質問」は、PMの成長軸を再確認するうえで必読だなー、と思っています。


『転職の思考法』はどんな本?

本書は、転職・キャリア構築の悩みを抱える社会人向けに執筆した一冊。
このまま今の会社にいていいのか?」という率直な疑問を切り口に、“転職=ゴール”ではなく、「自分の市場価値をどう高めるか」が本質と説いています。
単に転職手法だけではなく、将来のキャリアに向けた思考法や現職への向き合い方など、実務的な要点が整理されていて、仕事観を揺さぶられる内容が詰まっています。

プロダクトマネージャーの場合、転職市場で常に求められるポジションともいわれがちですが、具体的に「自分が何を武器に、どんな成長を目指すのか」をはっきりさせないと、せっかくのチャンスを逃しかねません。

本書は、そんなモヤモヤを解消する思考フレームを提示してくれます。特に「自分の市場価値を計る9つの質問」は、PMとしてのスキルや経験を冷静に棚卸しする際に役立つと僕は感じました。


 PMにとっての転職・キャリアを考える意味

プロダクトマネージャーは職務範囲が広く、社内外の調整やロードマップ策定、ユーザーインタビューなど、担う仕事が多岐にわたります。
一方で、組織構造やプロダクトフェーズの変化によっては、スキルを活かしきれなくなったり、成長の軸を見失ったりするリスクも潜んでいます。
例えば、スタートアップでPMをしていたが事業が成熟し、今は保守運用中心になって新しいチャレンジが減っているケースや、大企業でPMの権限が曖昧になり、意思決定に関われなくなったケースなど。

そうした状況で「このまま今の会社にいていいのか?」と自問したときにどう動けばいいか。本書は「転職」そのものをゴールにするのではなく、「自分の市場価値を高める」ことを起点に考えるべきだと説きます。

PMとしての職務は世間的にも需要が高い反面、具体的にどんなスキルが市場で評価されるのか、いつそのスキルの寿命がくるのか、意外と把握しづらい。
そこで本書にあるフレームを活かし、「自分のキャリアパスをアップデートする」手がかりを得られるはずです。


自分の市場価値を計る9つの質問

本書の中で僕が好きなパートが、「自分の市場価値を計る9つの質問」。PMの仕事は多様なスキルを要するぶん、どこに強みがあるかを曖昧にしがちです。この質問リストを使えば、客観的に棚卸しができます。
ここでは、その9つの質問を列挙しながら、プロダクトマネージャー視点での解釈を補足します。

  1. 会社を変えても、価値のあるスキルをどれだけ持っているか?
    プロダクトマネージャーとしての、UX設計やユーザーインタビュー、データ分析、開発ディレクションなどのスキルが会社が変わっても通用するレベルの専門性か?をチェックする。
  2. そのスキルの「賞味期限」はいつまでか?
    現在持っているスキルが、あと何年使えるのか。
    例えば特定のフレームワークやツールに依存しすぎていないか、管理のみで手が動かせなくなっていないかを考える。
  3. 他の会社でも通用する「レアな経験」がどれだけあるか?
    PMなら、「新規事業立ち上げ」「大規模リニューアル」「海外展開」など希少性の高い経験など。
    一般的な機能追加だけでなく、PMFを目指すスタートアップで成功体験を得ているかなどを棚卸しするのもgoodだろう。
  4. その経験は、世の中からどれだけ「強いニーズ」があるか?
    いくらユニークでも、市場的にニーズが低い経験では評価されにくい。
    例えばAIやクラウドネイティブに関わるPM経験は需要が高い一方、レガシー技術だけに偏っていると厳しいかもしれない。
  5. 社内に、自分が会社を変えても、喜んで力を貸してくれる人が、どれだけ存在するか? その人たちは、意思決定の力がどれだけあるか?
    組織内での人脈や後押しが転職後の成功にも影響する。
    PMとして協働したデザイナーやエンジニアがあなたのためにリファレンスを書いてくれるかなど、人的ネットワークを振り返ってみる。
  6. 社外に、自分のために喜んで力を貸してくれる人物がどれだけ存在するか? その人物たちは、意思決定の力がどれだけあるか?
    社外のコミュニティ、勉強会やカンファレンスで出会った仲間など、転職や新規プロジェクトで連携できる相手がいるか。
    PM同士の繋がりや業界リーダーとの関係があれば、転職だけでなくフリーランス転身などの選択肢も広がる。
  7. 自分が所属しているマーケットの「一人当たりの生産性」はどれだけ高いか?
    勤め先のビジネス領域が高付加価値かどうかを考える。
    例えばSaaSやAIなど、収益性の高い分野にいるとPMとしての生産性を高めやすい。逆に成熟しきった市場だと伸びが鈍るかもしれない。
  8. 自分が所属しているマーケットに今後の「成長性」はあるか?
    生産性だけでなく、将来の伸びしろも重要。
    BtoBでも新興産業なら新しいニーズが続々出てくるが、衰退市場だとどんなにスキルがあっても厳しい可能性がある。
  9. 今後、どれだけ「自分の市場価値」は成長が見込まれるのか?
    最後に総合的に見て、現在のキャリアパスを続けると、数年後にはPMとしての市場価値がどれほど上がるかを考える。
    もし停滞しそうなら、今の会社に留まるリスクを認識しておく必要があると本書は警鐘を鳴らす。

これら9つの質問を自問自答することで、自分のキャリアがどのくらい

  • 「通用するか」
  • 「いつまで持つか」
  • 「他に移るならどんな領域がいいか」

が徐々にクリアになってくると思っています。僕自身も転職する時にnotionにこの質問の答えを書いてました。
「PMは転職しやすい」という漠然とした思い込みを払拭し、本当に強い武器は何なのかを見極められるはずです。


PMが「転職の思考法」をどう実務に活かすか

これらの質問は単に転職を検討するときだけでなく、現職での立ち回りやスキルアップをデザインするツールとしても使えます。
例えば、今のプロダクトが成熟しきっていて新しい挑戦が少ないなら、「自社内で新規サービスに関わる方法はないか」と模索するきっかけに。
あるいは自分のスキル賞味期限を考えて、新しい技術領域(生成AIなど)へのキャッチアップをロードマップに組み込む施策を打つ方法もありそうです。

本書のエッセンスは、「会社を辞めるかどうかがゴール」ではなく、「自分の市場価値を高め続ける」という観点でキャリアを考える点。

PMとして、新機能開発やユーザーリサーチを仕切れる能力はもちろん大事ですが、それが他社でも通用するか、次の5年後に活きるかを常に意識することで、目先のタスクだけに埋もれずに済みます。
著者は「自分のキャリアを会社に預けきりにしないでほしい」と繰り返し説いており、プロダクト開発でも同様に自分がどういう付加価値を作れる存在なのかを明確化したほうが得策と感じます。


実務への落とし込み:PMとしての成長ロードマップづくり

具体的に、これら9つの質問をどう日々活かせばよいか?を考えています。僕もこのたりを自分のnotionで管理していたりもします。

1. 9つの質問に答えるタイミングを決める
半期レビューや人事評価の前後など、節目を決めて自己棚卸しをする。
そうすると「今、自分が高めるべきスキルは何か」「今後3年で会社内外でどう価値が上がるか」が明確になりやすい。

2. ロードマップに“自己成長タスク”を組み込む
プロダクトのスプリント計画に合わせて、自分も「新技術のPoCを担当する」「海外向け機能をリードする」などのタスクを設定し、キャリア成長を図る。
こうすると「他社でも通用するレア経験」を積みやすい。

3. 周囲の人脈を意図的に強化する
質問5と6で問われるように、社内外の支援者を増やす取り組み。
PMコミュニティの参加や、社内の意志決定者との関係を築く努力を怠らない。
自分が転職する・しないに関わらず、人脈がキャリアの保険にもなるし、現職での成果創出にも役立つ。

4. 業界・市場の未来を定期的にチェック
質問7と8のように、今いるマーケットが生産性や成長性を維持できそうかをニュースやレポートでウォッチする。
不透明なら、新しい市場への関わり方を先に模索するなど、早めに動ける。

5. 自分の市場価値を数値化・見える化
たとえばLinkedInやWantedlyなどでスカウトが来る頻度、カンファレンス登壇の誘いなどを一種の指標にするのも一手。

こうしたアクションを積み重ねると、自分のPMスキルがどこに強みがあって、会社や業界がどう後押ししてくれるかが自然と見えてきます。
「今の会社が自分の成長軸と合っている」と分かれば続ければいいし、合わないと感じれば転職も視野に入れられる。
本書は、その判断をクリアにするために9つの質問を軸に自己評価を回すことを提唱しており、すごく腑に落ちる内容だと感じます。


今日から実践できるアクション

  1. 9つの質問をリストアップし、定期的にセルフチェック
    月1でも半年1回、筆記でもNotionでも構わないので「会社を変えても活きるスキルは?」と自問自答して更新する。
  2. ロードマップにキャリア成長タスクを組み込む
    「新規機能PoCをリードする」「海外連携プロジェクトに参画する」など、レアな経験を意図的に取りにいく施策を計画に紐づける。
  3. 周囲のサポーターづくりに注力
    社内では意思決定権のある人に成果をこまめに共有し、社外ではPMコミュニティや勉強会でネットワークを築く。
    この人的資本が、今後の転職や事業移動において重要な役割を果たす。
  4. 市場・業界動向をウォッチし、自分の価値をアップデート
    ニュースサイトやレポートを定期的にチェックし、所属マーケットの成長余地やスキル賞味期限を見極める。
    遅れを感じたら勉強会やオンラインコースでキャッチアップを開始する。

Q&A

Q1. PMを始めて数年ですが、市場価値があるか分かりません。どうすればいいですか?
A. まずは本書の9つの質問に答える形でスキルや経験を洗い出し、「レア経験」「賞味期限のあるスキル」は何かを明確にするのがおすすめです。
具体的に語れる成功・失敗事例があれば強みになりやすいです。
Q2. 転職を視野に入れていますが、今の会社でも役立つ考え方でしょうか?
A. もちろんです。本書自体が「転職しろ」というより「自分の市場価値を高めよう」と説いています。
今の会社で新しいプロジェクトや市場価値の高い経験を積む機会を積極的に探すなど、現職改善にも活かせるはずです。
Q3. どう社内にこの考え方を広めればいいでしょう?
A. まずは自分で9つの質問に答えてみた結果をチーム内や上司と共有し、ロードマップとの関連を提案してみるやり方がおすすめです。
「自分の成長=プロダクトの成長」に繋げる施策を打ち出すと、上司のサポートも得やすいと感じます。

参考情報

  • このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
  • Eric Ries『The Lean Startup』(2011)
  • 安宅和人『イシューからはじめよ』(ダイヤモンド社, 2010)
  • Jakob Nielsen & Thomas K. Landauer (1993). “A Mathematical Model of the Finding of Usability Problems.” Proceedings of ACM INTERCHI’93
  • ユーザーインタビューの目的・設計・やり方・分析まで完全ガイド

まとめ:9つの質問で自分をアップデートし、PMとしての市場価値を磨く

『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が投げかけるのは、決して転職のススメではなく、「自分の市場価値をどう高め続けるか」という問いです。
プロダクトマネージャーとして日々を走り回るなかで、いつの間にか成長が停滞していないか、スキルの賞味期限が切れそうになっていないか。9つの質問は、客観的に棚卸しする有力なツールとなります。
その結果、「今の会社でもっと挑戦できる」と思えれば続ければいいし、「他社で新たな領域にチャレンジしたい」と決断してもいい。要は、自分のキャリアを自分でコントロールする意識を持つこと。
本書はその思考法を具体的に説いており、転職する・しない問わず、PMとしてのキャリアアップに必ず役立つと思います。

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