Google I/O 2025 生成AIアップデート―PdMが押さえるべき6つのリリース

生成AI

この記事の要約

  • Gemini 2.5シリーズとDeep Thinkモードの登場で、大規模推論と高速応答を両立。オンデバイス用のGemini Nano、オープンモデルGemma 3nも発表。
  • Android・Google Workspace・検索など“日常ツール”へAIが溶け込み、ユーザー接点そのものが変化。PdMはUXの前提を更新すべきフェーズに突入。
  • AI Studio/Gemini APIによる開発ハードルの劇的低下。企画〜プロトタイプ〜検証を一気通貫で短縮できる環境が整備。

Geminiシリーズ最前線:2.5 Pro・2.5 FlashとDeep Think

I/O 2025の主役は、「Gemini 2.5」シリーズ。最上位の2.5 Proは推論系ベンチマークLMArena全カテゴリで首位を獲得し、長文コンテキスト100万トークンをネイティブ処理します 。一方の2.5 Flashは「品質はそのまま速度5倍」を掲げ、チャットUXに不可欠な“レイテンシ削減”を実現。

さらに注目はDeep Thinkモード。
複雑な数式・多段論理を必要とするケースだけを任意で思考ステップを増強して解く仕組みで、推論コストを最適化できます。例えばデータアナリスト向けSaaSで「三つの指標からKPI変化を説明して」と聞かれた際、Deep Thinkをオンにし裏側で詳細計算を走らせる、みたいな形で深い洞察を得られると思います。

マルチモーダル面では画像生成Imagen 4・動画生成Veo 3を内包。Veo 3は効果音・セリフを含む“ネイティブ音付き動画”を生成し、Elon Muskも「awesome」と絶賛しました 。今後プロモ動画やUI内チュートリアルを自動生成し、ABテストに掛ける—そんなワークフローが現実味を帯びます。

Android & Workspaceに溶け込むAIレイヤー

Android:GeminiがOSの“表面”になる

最新Androidでは、画面上どこからでも呼び出せるオーバーレイAIが標準搭載。Geminiはカメラ映像・音声・テキストを横断理解し、アプリ文脈にマッチした提案を行います 。
端末内推論を担うGemini Nano(オンデバイスAI:ネット不要で動く軽量モデル)が、要約・校正・画像説明などをML Kit GenAI API経由で提供。ユーザーデータを外に出さず処理できるため、医療・教育など規制業界のPdMに朗報です。

僕自身、iPhoneユーザーですが、apple intelligenceが微妙なので次の買い替えタイミングではAndroid or iOSの選択を多分するだろうな、と思ってます。

Workspace:仕事フローとAIの完全融合

  • GmailのHelp Me Write
  • ドキュメントのAI引用付きライティング
  • スプレッドシートの自然言語→数式自動生成

がすべてGeminiベースに刷新されました。社内資料のラフ作成をAIに任せ、PdMは構造とストーリー磨きに集中する、など作業配分が大きく変わることが予想されます。

開発者ツールの刷新:AI Studio・Gemini APIのインパクト

Google AI Studioは、ブラウザ上だけでプロンプト検証→Webアプリ自動生成→即デプロイを実現する「AI開発のFigma」。Gemini 2.5 Proがコード補完を行い、サンプルアプリはGenAI SDKと連携してサーバーレスで動作します。

Gemini APIでは、音声入出力APIComputer Use API(AIに外部ツール操作を委ねるエージェント機能)、非同期Function Callingが追加。長時間処理をバックグラウンドで走らせつつ会話を継続できるため、UXの途切れを防ぎます。

また、オープンアプローチとしてGemma 3nが公開。マルチモーダルをスマホ・ノートPC上で軽快に回し、プライバシー重視のエッジ活用に最適で。

検索・レンズ・ChromeのUX進化

Google検索はAI オーバービューを正式ローンチ。
質問の意図を理解し、一段落で要点を回答しつつ出典リンクを表示します 。ユーザーは長文・追質問を前提とした“会話型検索”にシフト。PdMは自社サイトが「AI回答の引用先」になるよう構造化データ最適化を検討する必要があります。

カメラ×対話のGemini Liveでは、Lens経由で現実世界を映し「これで作れる料理は?」と質問するなどマルチステップ対話が可能。Chromeにはページ要約・用語解説を行うサイドバーAIが統合予定で、ウェブ閲覧の作法が変わります。

プロダクトマネージャーの視点で近未来ありえる活用を5つ

  1. ユーザーインサイト生成の自動化
    Gemini 2.5のDeep Researchで調査レポートやサポートログを丸ごと要約し、ファクト抽出を時短。
  2. UIモックの即時生成
    Stitch(AI UI生成ツール)に要件を日本語で入力→数分で3案モック生成→ユーザーテストへ。
  3. コンテンツパーソナライズ
    Gemini Nanoで端末内推論→プライバシーを保ちつつ好みに合わせたリコメンド。
  4. ABテストの高速回転
    Imagen 4/Veo 3でLP素材をマルチバリエーション生成→即配信→Flashモデルでリアルタイム解析。
  5. AIエージェント型UX
    Computer Use APIを使い、チャット内から外部サイトを検索→予約→決済まで“一気通貫”オートメーション。

参考情報

  • Google DeepMindブログ「Gemini 2.5 アップデート」 :contentReference[oaicite:11]{index=11}
  • Android Developers Blog「ML Kit GenAI API」 :contentReference[oaicite:12]{index=12}
  • Google Developers Blog「Gemma 3n Preview」 :contentReference[oaicite:13]{index=13}
  • Google Search Blog「AI in Search」 :contentReference[oaicite:14]{index=14}
  • Times of India「Elon Musk praises Veo 3」 :contentReference[oaicite:15]{index=15}
  • Google Blog「TPU Ironwood」 :contentReference[oaicite:16]{index=16}

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